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貨物駅の機能としても

 先週3月15日(金)、JR貨物・梅田貨物駅が廃止された。まもなく開業するグランフロント大阪と合わせて、うめきた再開発プロジェクトは新たなステージに入った。

 梅田貨物駅は東海道本線上になく、京都以東から神戸以西を走り抜ける、東海道・山陽貨物は通過しない。都心の超一等地に貨物施設を立地させることの都市政策的な観点からのムダという側面もあるが、むしろ貨物駅の機能としてのムダという面も大きかった。

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 大阪駅が東海道本線の駅であるから、梅田貨物駅は東海道線上にない、という言い方は不思議に思われるかもしれない。少し説明をしたい。

 東海道・山陽貨物は京都方面から新大阪駅構内を通過すると、そのまま宮原の車両所を通過して、尼崎に抜ける。山陽新幹線の高架橋の真下を通り、京都方面と神戸方面を結んでいる。つまり、淀川を2度渡ることなく、京都方面と神戸方面を直線的に走る。


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 梅田貨物駅に入線する貨物列車は上記ルートをそれるため、東海道・山陽本線を直通する列車を中間駅に停車させるという形では対応できず、あえて梅田貨物駅発着の列車を設定しなければならなかった。これが貨物駅の機能としての大きなムダだった。

 

 京都貨物駅(梅小路公園すぐそば)がそうであるように、現在の鉄道貨物駅(特に本線上の中間駅)では、着発線荷役方式の駅が主流だ。上下線の間にコンテナを並べられる島式ホームを設けて、貨物列車を一旦貨物駅に引き上げさせることなく、停車中の貨物列車にそのままコンテナ積み替え作業を行う方式だ。中間駅での停車時間を大幅に短縮でき、貨物列車の高速化を図れる、という大きなメリットがある。

 従来は本線上から離れた場所に貨物駅が存在することも多かった。しかし、現在では、上記メリットを考慮して、本線上に着発線荷役方式の貨物駅を設置する事例が多くなっている。例えば、2003年に廃止された神戸港駅は六甲道駅と灘駅の中間地点で東海道本線から分岐していたが、着発線荷役方式を備える神戸貨物ターミナル駅(鷹取駅すぐそば)に移設された。もちろん、梅田貨物駅の機能移転先である、吹田貨物ターミナル駅も着発線荷役方式だ。

 

 都心から貨物列車独特の音(機関車の警笛の音・コンテナが揺れる音)が聞こえなくなるのはさみしいが、貨物列車の高速化という時代の趨勢を考えれば、むしろ遅すぎた。

 まもなく始まる、うめきた2期工事。うめきた2期工事で再開発されるエリアに、大阪の物流を支えてきた梅田貨物駅を偲ぶ足跡を、何らかの形で残してほしい。

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