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このままでいいの?

 国会で現在審議されている消費税関連法案・原子力規制庁設置関連法案、いずれも審議方法に大きな共通する問題を抱えている。

 ここでいう審議方法とは、国会の審議時間や3党合意の是非ではない。もっと大きな話だ。以下では、上記法案・問題の内容それ自体の是非を問題としない。内容それ自体の是非はいずれ議論するとして、ここではあえて立ち入らない。

 

 原子力規制庁設置関連法案では、福島第1原発事故を通じて顕わになった原子力規制の問題点を改善するため、法案が出されたものと考えられる。当該法案には、原発事故発生時の指揮・命令系統、原子力規制庁の組織運営方法などが盛り込まれている。

 福島第1原発事故については国会事故調査委員会の報告書さえまとまっていない。同委員会は原子力規制行政の問題点も含めて調査している。上記法案が国会を通じて審議される事項で、その国会がいまだ事故の原因・遠因となった原子力規制行政の問題点をまとめきれてないのに、新たな原子力規制のあり方を規定する法案を審議すること自体が理解できない。

 

 消費税関連法案も同じだ。政府の論理によれば、毎年増大する一方の社会保障経費を賄うため財源確保の必要があり、また欧州諸国に比べて消費税率は引き上げ余地が大きく残されているから、消費税を引き上げると。

 しかし、そもそも社会保障や税制のグランドデザインをどのように考えているのか、全く不明だ。消費税を5%引き上げたとしても、毎年自然増加する社会保障経費にあっという間に消えるだけだ。持続可能な社会保障とはどのような仕組みなのか、そのためには税制をどのように組み合わせることが適当なのか、そんな議論は聞こえてこない。

 ちなみに、消費税引き上げを欧州債務危機と関連付けるのは明らかな間違い。このまま政府債務が増大すれば日本もギリシアになるという懸念があるなら、長期金利が0.815%(2012年6月21日現在)という歴史的超低金利に落ち着くはずがない。財務省に騙されてはいけない。

 

  現在国会で審議されている事項はいずれも小手先の内容に過ぎない。なぜ現状の問題が発生したのか、これからの将来像はどうあるべきなのか、などといった議論は見えない。継ぎ接ぎだらけで、しばらくしたら同じ問題が再燃するはずだ。真摯に問題へ向き合ったり、過去の反省を生かさない。日本の政策立案過程の大きな問題点が繰り返されそうとしている。

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