明日を見通せない時代だから・・・

鉄道・スポーツ観戦・読書・音楽鑑賞をこよなく愛する、永遠の17歳

2013年2月の読書メーターまとめ

2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:919ページ
ナイス数:4720ナイス

ラ・パティスリー (ハルキ文庫)ラ・パティスリー (ハルキ文庫)感想
入店したばかりの新人パティシエ・香織、身元不明で謎多きパティシエ・恭也、2人の働く神戸のパティスリー『ロワゾ・ドール』にまつわるスイーツ小説。恭也が旅立つまでの1年間、記憶障害を抱える恭也の生い立ちを探しつつ、パティスリーの業務内容・パティシエのキャリア形成・顧客にまつわる謎解き・春恵と彰一の関係・香織の成長を描く。坂木司『和菓子のアン』(光文社文庫・2012)に似た構成といえ、最近の流行なのかな。話の構成としては面白かったけど、ケーキの美しさ・瑞々しさを伝える語彙や描写にもう一工夫ほしかった。
読了日:2月16日 著者:上田 早夕里


あの日の僕らにさよなら (新潮文庫)あの日の僕らにさよなら (新潮文庫)感想
最終的に結ばれなかった17歳の恋の当事者が28歳で再会し、お互いに空白の11年間を総括する、せつない恋愛小説。自意識過剰な17歳の淡い恋心を、17歳と28歳双方の視点から描く。過去の選択は現在を大きく左右し、セピア色に染まった恋愛の記憶は時間の経過でどんどん美化される。それでも、時間が前に進む以上、現在を生きる者は前を向いて歩かなければならない。僕が似たような経験を持つためか、最後の祥子から衛に宛てた手紙にある「それぞれの人生を歩んで行きましょう」(384頁)の一節は心に響いた。
読了日:2月10日 著者:平山 瑞穂


一瞬に生きる一瞬に生きる感想
幼少期から現役引退までの野球人生を時系列順に振り返りながら、野球に取り組む姿勢・考え方、野球を通して築かれた人間関係、リーダー論、けがとの戦いを記す。離婚や脱税事件など自己に不都合なことも記したり、ライターを使わずに自ら執筆した文章など、著者の誠実さを随所に感じた。『「逆境のときこそ、生き様の見せどころ」と思えるようになったのも、いろいろな本との出会いのおかげです』(144頁)。一般向けに書かれた本書に次いで、美しい放物線を生み出す技術論を解説した書籍も期待したい。引退の余熱が残る、熱く充実の1冊。
読了日:2月5日 著者:小久保 裕紀

読書メーター

f:id:kbtttmn:20130401000200j:plain

↑↑↑なぜかグラフのタイトルは『3月の』となっているが、正しくは『2月の』です。

このエントリーをはてなブックマークに追加