明日を見通せない時代だから・・・

鉄道・スポーツ観戦・読書・音楽鑑賞をこよなく愛する、永遠の17歳

2012年8月読書メーターまとめ

8月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2254ページ
ナイス数:3210ナイス (感想・レビューは306ナイス)

東京タワー東京タワー
約10年ぶりに再読。性格・思考パターン・恋愛・学生生活・就職観など、主人公2人(透・耕二)はあらゆる点で対照的。2人の人妻(詩史・喜美子)の描き方、20世紀末の情景描写が魅力的(江國香織は情景描写がとてもキレイ)。「透にとって、世界は詩史を中心に構成されている」(109頁)。主人公と近い世代なので、詩史のような女性と出会いたいと強く願ってた、初読時を思い出してホッコリ。うまく距離感を保つため、僕なら詩史の店に就職したいとは思わないけど・・・。10年経った今だからか、耕二の恋愛観にも共感できる。
読了日:08月30日 著者:江國 香織


Number (ナンバー) ロンドン五輪特別編集 2012年 8/24号 [雑誌]Number (ナンバー) ロンドン五輪特別編集 2012年 8/24号 [雑誌]
澤と宮間の抱き合う表紙に魅せられ、ジャケ買い。映像での感動を誌面で再び味わう。金メダリスト・団体競技を中心に誌面構成。競泳の記事(52-58頁)はチーム競技として誌面を構成しており秀逸。スポーツを数字で読む(116頁)では、身長差を克服する泳ぎの重要性を説く。若手ホープ・萩野公介(175cm)も大きくないので、泳ぎの技術向上が今後を左右するはず。五輪以外の記事では、プロ野球の新星(田島・野村・堂林・角中)、ヤングなでしこ(田中・楢本・仲田)など。ボルトのみだった、海外アスリートの記事を充実して欲しかった。
読了日:08月26日 著者:


ボトルネック (新潮文庫)ボトルネック (新潮文庫)
東尋坊の断崖から転落したはずなのに、リョウは浅野川の畔にいた。見慣れた光景だが、リョウやサキの関わった人・物の中に異同がある、嵯峨野家の第2子がサキの世界。自らと好対照で陽気なサキの性格・人生と重ね合わせながら、2つの世界を分ける分岐点(ボトルネック)は第2子がサキかリョウかにあったと気付く。若さのもたらす卑屈な感情、決断より受容を選択するリョウの性格、リョウのノゾミに対する青い恋心、重苦しい雲の垂れ込む暗鬱な金沢の情景を交えながら、元の世界へ戻るための手がかりを模索するミステリー。最後は切ない・・・。
読了日:08月18日 著者:米澤 穂信


往復書簡 (幻冬舎文庫)往復書簡 (幻冬舎文庫)
手紙による独白形式で進行する、どんでん返し付きのミステリー短編集。各作品とも、ある過去の事件を真相究明する過程で、現在における過去との接し方を問う。時間が経過するほど、現在の立ち位置を踏まえて過去の事実を眺めるほど、人間は過去の事実に関する記憶を無意識に改変する。自己保身・自己に都合の良い過去の解釈・登場人物間のわだかまりなど、登場人物の多面的な心情描写を通じて、人間の醜い感情を炙り出す。『告白』『少女』で見られた背筋の凍るような描写はなく、両作品と趣向を異にする。巻末に吉永小百合のインタビューを収録。
読了日:08月13日 著者:湊 かなえ


1ポンドの悲しみ (集英社文庫)1ポンドの悲しみ (集英社文庫)
10本の恋愛短編集。各作品とも主人公は30代前半の女性。劇的な恋ではなく、日常に潜む恋。所与の前提条件(仕事・家庭・来歴・プライドなど)の狭間で揺れる繊細な恋心を、2000年前後の時代背景に乗せて、丁寧に描写する。既婚女性の鬱積する日常の不満を単純に不倫へ結びつけない「十一月のつぼみ」、夫婦となっても続くトキメキを描く「秋の終わりの二週間」が良かった。解説の「30代の恋は・・・あなたとわたしが見えている恋」(267頁)は名言。作品中に大阪は一切出てこないのに、表紙は西梅田。表紙の意図が不明な点は残念。
読了日:08月12日 著者:石田 衣良


ゴールデンスランバー (新潮文庫)ゴールデンスランバー (新潮文庫)
[※単行本からの登録し直し]仙台市街地で発生した、首相爆殺事件。なぜか犯人として追われる青柳雅春の丸2日間にわたる逃亡劇を、10年前の学生生活とクロスさせながら描く。数多くの伏線を散りばめつつ、あえて全て回収しない。読者に行間を埋めさせ、読者の想像の幅を残す。冗長ともいえる文体・描写を敢えて行う(解説参照)。セキュリティポット・違法捜査・捜査機関による情報を垂れ流すマスコミの報道姿勢など、フィクションを通じて、無意識的な権力的要素に対する盲信へ警鐘を鳴らす。「人間の最大の武器は習慣と信頼だ」(105頁)
読了日:08月10日 著者:伊坂 幸太郎


ハニー ビター ハニー (集英社文庫)ハニー ビター ハニー (集英社文庫)
『あの日、君とGirls』所収の短編集で興味を持ち購入。9本恋愛短編集。主人公は大学生・社会人・フリーターなどの女性。日常とクロスさせながら、繊細に心情を描写する。甘いけど苦い、切ないけど前向き、な話が多い。現在の恋人と過去の好きな子が両立する『スリップ』の岡田君の心情描写など、男性側の心情描写も突っ込んで欲しかったかな。同じ作者による長編小説を読んでみたい。
読了日:08月04日 著者:加藤 千恵

2012年8月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター

f:id:kbtttmn:20120908100612j:plain

このエントリーをはてなブックマークに追加